患者さんの声Fさん
足裏の痛みや、夜間尿に八味丸
つらい症状があるのに病院に来て、薬はいりませんと言う方はあまりいないでしょう。Fさんはそうでした。「特に薬はもらわなくても結構です。」と言うのです。70歳になる女性の方でした。
Fさんの話
足の裏が痛み始めたのは、1年半くらい前のことでしょうか。腰も少し痛みます。ある整形外科に行ったところ、足のレントゲンを取り筋肉を調べ「大丈夫です。特に悪いところはありません。」と言われました。別の整形外科に行っても、「心配いりません」と言われ、正常なのに何で来るんだろう、というような顔をされました。漢方のお医者さんに行けば少しはわかってもらえるのではないかと思いやってきました。 先生に話したら、「そういうこともあります。年寄りになると起こる病気なのです」と言われ、なんだか嬉しくなりました。わかってもらえればそれでいいと思い、薬はいらないと言って帰ろうとしました。すると漢方の先生は「薬があるんですよ」と言って八味丸という漢方薬を処方してくれました。
八味丸を飲んだところ、なぜか足裏の痛みが少し楽になりました。腰痛も楽になったし、夜中に行くお小水も5回から1~2回になりました。冷え性でしたが、不思議とあまり冷えなくなりました。
担当医(三浦医師)の話
足裏が痛むのは、足の筋力が弱まったために、立っているときに負担がかかってしまうためと考えられます。つまり年を取り足が弱まったために、そうなったと思われるのです。お年寄りになると足腰が弱まり、お小水が近くなり、夜中におしっこに何度も行きたくなります。体に元気がなくなった症状が出ます。年を取り根本的な生命力が低下した状態になるのです。
東洋医学ではこれらをまとめて腎虚(じんきょ)と言っています。Fさんの症状も、この腎虚の症状の一つなのですが、この症状が現れるのは非常に少ないのが現実です。そのために、とりあげられることも少なく、場合によっては「気のせいだ」などと思われてしまうのです。
八味丸と六味丸について
八味丸と六味丸はこの腎虚を改善する代表的な漢方薬です
“味”というのは漢方薬の数え方で、八味丸とは8種類の漢方薬でできている玉状の薬(丸剤)という意味です。有名な七味唐辛子は、7種類の薬味からできているわけです。
八味丸と六味丸の違いですが、六味丸には体を温める桂枝(シナモン)が入っていていて八味丸には附子という漢方薬が加えてあります。ですから、おおざっぱに言って、冷え性の人には八味丸、冷え性ではない人や暑がりの人、子どもには六味丸と言うことになります。子どもは暑がりが多いですから。
八味丸と六味丸は、胃腸障害を起こすことがあります。胃腸が弱い人は、注意したほうが良いでしょう。腎虚で胃腸が弱い場合はどうしたら良いのか。その時には、胃腸が弱くても大丈夫で腎虚にも効果がある漢方薬(清心蓮子飲など)に変えてみて下さい。
また、体の上半身は冷えるのに、下半身が冷えて困る方で、夜間尿に悩んでいる方にも清心連子飲が有効なこともあります。保険適応のエキス剤で、効果が見られない方でも、煎じ薬をつかうと効果が早いことも多くあります。夜中に何度もおしっこに行く方は一度漢方薬も試されてはいかがでしょうか。
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