患者さんの声Tさん

不登校に抑肝散加陳皮半夏

不眠

中学2年生の男子のT君がお母さんに連れてこられたのは、梅雨も明けた7月後半のことでした。ややふてくされ気味のようなT君に代わり、お母さんは話し始めたのです。

お母さんの話

この子は朝起きられず、そのために学校にも行かれないのです。学校には5日から7日間に一度位行くだけです。いじめられているのはないかと心配したのですが、どうも違うようです。朝起きられないのは夜に眠らないのです。いや眠れないのかもしれません。小さい時には夜泣きが多く、神経質な子どもでした。

T君の話

登校したい気持はあるのです。でもどうしても夜遅くまで起きているのです。というか不安や緊張が強く、そのためにイライラしてなかなか寝付けないのです。だから朝も起きられないんです。朝起きても緊張や不安があり、学校には行けないのです。特にいじめられているためではありません

抑肝散加陳皮半夏という薬をもらいました。時々忘れますが、案外真面目に飲みました。その結果、一ヶ月間飲むと緊張や不安は少なくなり、二ヶ月後には良く眠れるようになりました。半年後には毎日登校できるようになりました。そして一年半後には、無事念願の高校も入る事ができました。

担当医(三浦医師)の話

抑肝散加陳皮半夏とは:抑肝散加陳皮半夏の抑肝とは、緊張や「こころ」の昂ぶりを抑制する。つまり、おさえるという意味です。この場合の肝は西洋医学とは、全然異なる働きをします。すなわち肝は「こころ」がのびやかに、体がスムーズに働けるように調節している臓器と考えられています。

この働きがうまくいかなくなると、「こころ」や体が緊張したり、イライラして落ちつかなくなったり、興奮したり、怒りやすくなったりします。このような肝の働きの不具合を抑えて正常にしようというのが抑肝散加陳皮半夏という漢方薬なのです。これは抑肝散とう漢方薬に陳皮(ミカンの皮)と半夏(カラスビシャク)という漢方薬を加えたものです。

気持が昂ぶって熱を持ったり、体が突っ張ったり、ひどくなると痙攣したりする。このたも使われます。

T君はよく言えば繊細、悪く言えば神経質で緊張が強く、そのために学校に行けなくなったのでしょう。ふてくされたように見えるのは緊張のためだったのでしょう。

お母さんの話

ネットで調べたのですが、この抑肝散加陳皮半夏という薬は認知症の薬と書いてありました。子どもは認知症ぎみなのかと不安になりました。どうなのでしょう。

担当医(三浦医師)の話

抑肝散陳皮半夏と認知症:確かに認知症に使われると言うと、ビックリしますね。ではなぜ認知症の人にこの漢方薬を使うのでしょうか。認知症の人の中には、気持の抑制が効かなくなったり、イライラしたり、怒りやすくなったりする方がいます。このようにその症状がT君に似ている場合があるのです。このような人に対して、抑肝散加陳皮半夏が使われます。症状が似ていても、認知症とは全然原因が違う訳ですから安心して下さい。

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