患者さんの声Mさん
下痢と食欲不振に六君子湯
小柄で、やややせ気味の40歳女性のMさんが来院したのは、これから冬に向かう11月下旬のことでした。よく下痢をし食欲もあまりない、ということでいらしたのです。
Mさんの話
よく下痢をし食欲もあまりないので、近所の内科クリニックで胃薬や下痢止めを渡してもらっていました。その時には良くなるのですが、長続きはしません。漢方薬がいいよ、と友達に勧められ半信半疑で受診してみました。
漢方のお医者さんというと、何か近寄りがたく、偏屈な人が多いと思っていました。受診してみると決してそんなことはなく、普通の内科クリニックと同じでした。でも症状を詳しく尋ねられ、そこが普通のクリニックとは違うところでした。
そこで私の症状ですが、2~3日に1回~3回、ひどければ毎日のように下痢をします。下痢の時にはあまりお腹は痛くありません。また食べたい気持があまり起こらず、食後には強いもたれがあります。食べ物は温かいものが良く、冷たいものは好みません。よくゲップをします。しばしば冷え性で、生理の時に少し痛みがあります。性格は楽天的な方で仕事も頑張っています。
六君子湯という漢方薬をもらいました。また下痢の時には五苓散、もたれが強ければ平胃散を飲んで下さいとのことでした。その結果、二日ほどで食欲も出て下痢も止まりました。二週間の間に下痢止めの五苓散を一回、もたれが強くあったので平胃散を二回ほど飲みました。漢方薬は難しい漢字なのに、以外に早く効きビックリしています。
担当医(三浦医師)の話
六君子湯と他の漢方薬:Mさんは胃腸が弱く、そのために身体が弱くなり冷えてくるのです。六君子湯は胃腸を丈夫にし、身体を元気にして、冷えをよくするお薬になります。あまり冷えが強かったり、下痢がひどかったり、疲れがひどい場合には、効果が薄くなります。そこで冷えが強い時には真武湯、下痢がひどいときには五苓散、疲れが強い時には補中益気湯などが使用されます。もたれが強ければ、消化をよくする平胃散が使われます。
Mさんは六君子湯だけでよくなっていますが、これは症状はそれほど強くないためでしょう。Mさんにあげた六君子湯とは、君子のように穏やかな薬と言えるのです。
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