患者さんの声Oさん

めまいに半夏白朮天麻湯

めまい

びしっとしたスーツを着こなし、いかにも真面目な会社員というOさん。35歳の男性の方です。

Oさんの話

約1年くらい前より、立っていると体がふらふらするようなめまいが起こるようになりました。その時には軽い吐き気がします。いつもぼーっとするような頭の重たさが、肩から首にかけてあります。

めまいは5日~7日に一回位起こり、めまいの前に下痢が起こります。手足は軽い冷え性です。体は足が重だるく疲れます。食欲は正常ですが、10代の頃より虚弱体質で下痢がちでした。性格は神経質のようで緊張しやすいです。経理の仕事をしており、パソコンを眺める毎日です。

めまいが起きて気持悪くなると、耳鼻科に行って薬をもらいます。一時的によくなるのですが、何か根本的に治らないかと思い受診しました。あと耳鼻科ではメニエール病かもしれないと言われています。

半夏白朮天麻湯という漢方薬をいただきまして、二週間飲んだところめまいと下痢は消失しました。めまいだけの薬だと思っていたのに、下痢も止まり胃がスッキリしたことです。これは不思議なことでした。

担当医(三浦医師)の話

めまいの東洋医学的考え方:ひとくちにめまいと言っても、色々なタイプの人がめまいを起こします。めまいの時に頭が熱くなる方、寒くなるとめまいが起きる方、疲れるとめまいがする方、そして胃腸が弱い方などです。いろいろなタイプによってめまいに使用する漢方薬は異なってくるのです。

Oさんの場合、若い頃より胃弱体質だった、めまい時に下痢をする、吐き気があるなどより胃腸が弱いタイプのめまいとわかります。じつはOさんを診察すると、白っぽく大きい舌で、舌苔(舌の上の苔)は白く、そしてびっちりと生えていました。これは体に余分な水分がある事を表しています。余分な水分のことを東洋医学では「痰飲(たんいん)」と言います。

余分な水分である痰飲になったのは、胃腸が弱くなったためでしょう。胃腸が弱まると水分が吸収できなくなり体に溜まってしまうのです。つまり消化不良で痰飲が起こるわけです。

Oさんの状態を東洋医学的に考えれば、胃腸が弱くなり水分が溜まり、この水分がめまいを起こさせたと考えられます。胃腸が弱くなったのも、体質的に胃腸が弱い事、更に加えて仕事を頑張りすぎたのも影響があるかもしれません。

半夏白朮天麻湯とは:半夏白朮天麻湯は、半夏・白朮・天麻という三つの漢方薬が重要な働きをする薬です。半夏で嘔吐や吐き気、天麻でめまい、白朮で弱った胃腸がそれぞれ良くなるのです。このように重要な漢方薬が名前になっているのです。更にはめまいだけでなく、頭痛や頭の重たさ(頭重)にも使われます。

この薬は単にめまいを良くするだけでなく、同時に胃腸を良くする働きをします。更には余分な水分を取り、体を温める働きもするのです。Oさんがめまいだけでなく、胃腸も良くなっているのはこのような理由からです。

まとめれば半夏白朮天麻湯は、胃腸が弱く冷え性で、余分な水分が溜まりやすい人が、めまいや嘔吐、吐き気、更には頭痛や頭重感を起こしたときに使用される漢方薬なのです。

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