患者さんの声Kさん
夏バテに清暑益気湯
夏バテでいらした23歳女性のKさんの話です。Kさんがいらしたのは、太陽がギラギラと輝く8月初めのことでした。待合室の椅子に腰掛け、目をつぶってしまっており、いかにも辛そうとのスタッフの話でした。
Kさんの話
もともと身体があまり丈夫でなく、胃弱体質の方でした。大学を卒業して入った会社が、外勤が多く、夏の暑い日差しのために疲れてしまいました。でも新入社員だし、頑張らねばと思い、太陽の下に飛び出していくのですが、夕方はぐったりしてしまうのです。不思議に、早い夏休みに信州に行ったのですが、その時は元気でした。太陽がギラギラではなくキラキラして気持ちよかった。休みが終わって出社したのですが、どっと疲れてしまいました。
症状ですが、全身が重だるく疲れ、体がホテリ、時に頭痛がします。食欲は低下し喉が渇き冷たい水をたくさん飲んでしまいます。そういえば寝汗をかくようになりました。熱も37.1℃から37.3℃くらいあります。
頂いた漢方薬、清暑益気湯を飲んで会社に行き、お昼前にも飲むようにしました。飲んで2,3日後してから疲れが減り始め、食べられるようになり熱も下がりました。一週間後には体も快調になり、頭痛や寝汗も起きなくなりました。夏にこの薬は手放せません。
担当医(三浦医師)の話
夏バテと清暑益気湯:Kさんは典型的な夏バテの方です。夏バテは東洋医学では中暑(ちゅうしょ)、あるいは疰夏(しゅか)と言い、クーラーなどなかった昔は夏場の大変な病気でした。と言っても40年から50年前までは、家庭にクーラーは少なく、学生達は夏などは図書館で勉強したものです。
Kさんのような胃腸が弱い方、多湿に体が順応できない方、例えば太っている方などは夏バテにかかりやすくなります。
夏バテを防ぐ漢方薬が清暑益気湯になります。清とは「清水のように体を冷やし爽やかにする」という意味で、体の暑さを冷やし、失われた元気を取り戻す(益気)薬という意味です。またこの薬には消化を促進する作用もあります。単に夏バテだけでなく、夏になると食欲がなくなる方、疲れがひどくなる方、体がほてって眠れない方などには使ってよい薬です。夏バテの薬は漢方薬以外ありません。多いに利用してみて下さい。
白虎加人参湯と清暑益気湯:同じような薬に白虎加人参湯という薬があります。これは熱中症の薬です。同じく体のホテリを取ると言えますが、清暑益気湯のように食欲を改善する漢方薬は入ってはいません。また体を元気にする力が弱いのです。急性期の熱中症には白虎加人参湯、慢性期の体が疲れてしまい食欲が低下する時には清暑益気湯と考えれば良いでしょう。
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