漢方薬には好転反応とか瞑眩(めんげん)とよばれる反応があるそうですが…

副作用が起こらないように使用していても、時として副作用のような体の不快症状が出ることがあります。これは瞑眩(めんげん)とよばれるもので、効果が得られる前に一時的に出現する体の反応です。好転する前の症状というところから好転反応とよぶ人もいます。 

瞑とは「目をふさぐ、暗い」、眩とは「目がくらくらして見えない、目をくらませる、たぶらかす」という意味です。つまり瞑眩とは「症状が悪くなったように思わせるだましの反応」ということなのです。 

例えば、下痢を止めるのにわざと下剤を使用して、下痢をさらに起こさせて止める方法があり、急性の食中毒などの治療にときに使用されます。その他、湿疹の治療でさらに湿疹を強めて回復を速める、嘔吐の治療で強い嘔吐を起こしその後に止める、などの方法もあります。 

ほとんどの場合、飲み始めてすぐに出現し、軽快するのも早いものです。また他の症状が取れて気分的によくなるという特徴があります。 

瞑眩の出現率はどのくらいかといえば、それほど多いものではありません。当クリニックの経験では1147例中に4例(0.3%)程度でした。また副作用との区別は専門家でも難しいのが実情です。 

この瞑眩は従来の日本漢方では強調されすぎるきらいがありますが、これは江戸時代に作用の強い薬を使用して、病気を治療しようとした一派がいたためです。 

この瞑眩は必要なものではなく、これが出現しなくても病気は治癒します。ですから起こらなければそれに越したことはありません。 

瞑眩の知識があるばかりに、患者さんのなかには、漢方薬を飲んで不快な症状が出現すると瞑眩と思い込み我慢してしまう方もいます。このようなときには、自己判断はせずにすぐ申し出るほうがよいでしょう。 

また民間の医療家では必要以上にこれを強調する人がいますが、これはあまり感心したことではありません。本当の副作用との区別ができず、人によっては患者を安心させる目的で強調する人もいるからです。

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