保険の効く漢方薬だけでほとんどの病気が治療できますか。保険が効かない場合、かなり高価な漢方薬も必要になるのでしょうか。 

まずエキス剤を見てみますと、現在中国(中華人民共和国)の中医学院の教科書には、319種類(うち重要なもの197種類)について記載されています。日本ではもちろん、国情の違いや頻用度の多少がありますが、保険の効くエキス剤は148種類ですから、半分以下しか認められていないわけです。また日本医科大学東洋医学科で処方されたエキス剤と煎じ薬の割合は約3対1です。 

これらよりすれば、ごく単純にいって、日常診療で保険適応エキス剤の治療可能な疾患は、多くて3分の2、少なくても2分の1ぐらいでしょう。煎じ薬の場合ですが、前項で述べたように、生薬すべてが保険で認められているわけではなく、常用生薬を約250種類とすれば半分強が認められているにすぎません。 

実際の処方では保険適応と適応でないものが、どうしても混入してしまいます。そのため、保険だけで煎じ薬を処方するには無理が出てくるのが実情です。東洋医学専門の病院によっては、保険外の生薬は赤字覚悟で病院で負担している場合もありますし、煎じ薬については患者の自費としている所もあります。自費の場合、一日分が500円~1000円ぐらいです。とくに中医学的な観点から治療している所では、多種類の生薬を使用し、また各生薬の分量も多くなりますので、 一日分が高くなるようです。 

以上のように、現在の日本では、効果があるすべての病気に対し保険適応の漢方薬で治療することはできません。一日も早い改善が望まれるところです。

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