「東洋医学」の外に、「漢方医学」や「中医学」などの呼び名がありますが……

長い間日本には東洋医学しかなく、医学といえばこれを指していました。ところが江戸時代中頃にオランダ医学が人ってくると区別が必要となり、オランダ医学を蘭方、それまでの医学を、漢方、あるいは、漢法、などと呼んだのです。 この「漢」はとかく漢王朝の漢と誤解されますが、漢民族のことで中国という意味です。つまり漢方とは漢民族由来の医学体系という意味なのです。

東洋医学という言葉は明治以後に使われ始めた言葉で、基本的には漢方と同様な意味になります。使われ方のニュアンスとしては、鍼灸(しんきゅう、はりきゅう) や漢方薬を含めた日本の伝統医学全体を東洋医学とよび、漢方薬による治療を漢方と呼ぶ傾向があるようです。
また中国語で東洋(トンヤン)というと、日本を意味する言葉となり、中国では使用されません(例えば東洋參とは日本の人參の意味)。東洋医学というと日本の医学という意味になってしまい、日本だけで使われている言葉です。

最近、中医学(ちゅういがく)という言葉もよく目にします。これは中国伝統医学の略で、中国における東洋医学・漢方医学に相当するもので、本来は中国語です。この言葉は、中華人民共和国が成立してから使用され始めたもので、それまでは西洋医学と区別するために、「国医」「中国医学」「漢医」などが使用されていました。これらは現在の台湾でも使用されています。

中医学という言葉は、1970年代以降に日本に入ってきたものです。現在この言葉は、江戸時代以後日本流になってしまった漢方医学と区別するために、現在の中国で行われている伝統医学という意味で使用されることがほとんどです。

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