漢方薬の副作用はどのような原因で起こるのでしょうか

漢方薬の副作用の原因は、以下の四つにまとめられるでしょう。 

①その薬物に毒性があり、これによって出現するもの。漢方薬のなかには、附子(ぶし)や巴豆(はず)、烏頭(うず)など毒性成分が含まれたものがあり、このうち附子が最もよく使用されるものです。もっとも有毒成分を含む漢方薬の数は少なく、また毒性を少なくするための加工(修治)をしたり、他の薬を配合する(附子に甘草を加える)、多量に使用しないなどによって、この副作用を防ぐ方法がとられ、安全性が高められています。また現在のエキス剤には附子以外には強い毒性のある漢方楽(生薬)は使用されていません。 

②敏感体質によるもの。普通には問題ない漢方薬なのに、人によっては副作用を起こす場合があります。アレルギー体質の人、薬疹を起こしたことがあるなど いわゆる敏感体質の人に多く見られるもので、西洋薬より少ないとはいえ、時に見られるものです。このケースは投薬前ではわからないことも多く、また起こす薬物も一定しておらず、予防が難しい面があります。 

ですから薬に敏感な体質の人は、漢方薬だから安全と気を抜かず、おかしいと思ったら薬を中止し、医師や薬剤師にすぐ相談するなどの注意が必要でしょう。

③多量に服用したり長期に服用したためのもの。漢方薬には決められた量があります。これを無視し多量に服用すると副作用が出現します。例えば木通(もくつう)という漢方薬(生薬)は一度に60グラム服用すると腎機能障害を引き起こすといわれています。これほど極端ではなくても、一度に2日分飲んだために、胃腸障害が起こった人などが時に見られます。とくに最近では、現在の中国で行われている漢方薬の量をそのまま煎じ楽として処方する医師もおり、このケースの副作用が見られることもあるようです。 

ですから、一度に決められた量以上は決して飲まない、自分には多いと思ったら相談して半分ぐらいにしてみるなどの注意が必要でしょう。 

漢方薬のなかには、長期に服用するとよくないものがあります。例えば大黄(だいおう)が入った下剤、麻黄(まおう)が入った喘息薬、さらには附子などです。これらの薬は漫然と飲みつづけるのはよくありません。症状が取れたならば、これらの薬は中止し、今度はその病気を引き起こしにくくする長期連用可能の漢方薬に変更すべきなのです。

④不適当な漢方薬を服用したためのもの。漢方薬には西洋医学とは異なる「証」とよばれる適応症状があります。証とは漢方薬を投与してよい状態といけない状態を取り決めたものともいえます。ですから、証に合わない、つまりその病気にふさわしくない漢方薬を服用すると、副作用が出現しやすくなります。現実には、これによる副作用が一番多いように思われます。近年大きく報道された漢方薬の副作用報道のなかでも、どうやらこれが大半を占めているようです。副作用防止の第一は、医師がふさわしい漢方薬を処方できるかどうかにあるといえます。 

ただ、ふさわしくないからといって全部の薬が副作用を起こすわけではなく、起こしやすい漢方薬はだいたい判明しています。例えば、体が冷えかつ胃が悪い人が、黄連(おうれん)など体を冷やす薬を飲むと、食欲不振などの胃の障害が出現しやすくなります。胃弱で冷え性の便秘の人が、大黄(だいおう)の入った強い漢方の下剤で下痢を引き起こすなどの例です。

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